CIAが9.11を防げなかった理由がわかる『多様性の科学』:マシュー・サイド著
ダイバーシティという言葉があっちこっちで言われるようになって久しいけれど、多様性がどうして大切なのかというのを理解したいと思って、読んだ本。
『多様性の科学』著者:マシュー・サイド
最高の人材を採用してきたはずCIAが9.11のテロを見逃したのは、職員のほとんどが「白人、男性、アングロサクソン系、プロテスタント」で構成されていたからではないか。
同じ系統の人たちしかいないとしても、“最高の人材”なのであれば問題ないのでは?
多様性とは別のところに問題があったのでは?
こういう疑問に対して、一つ一つ論理的に解説してくれているのが本書。
前回記事に書いた『存在しない女性たち』は、女性の意見を取り入れたほうがもっと良くなるよーということを書いていたけど、『多様性の科学』はさらに踏み込んで、多様な意見を取り入れたほうがもっと良い解決策・案が出てくるよーというお話。
結局いろんな視点を持った人たちが集まったほうが、死角が少なくなるという話。
そりゃそうだなぁ、と読みながら納得。
この本を読みながら恐ろしいなと思ったのは、社会が不安定だったり経済が停滞しているとき、人間は支配型のリーダー(支配型のヒエラルキー)を求めがちというところ。
その人についていけばいい、という安心感を求めるからなんだろうな。
この一番の問題は、人間が思考停止に陥っているということ。
リーダーがめちゃくちゃ素晴らしい人間だったら、問題ないかも知れないけど、悪い人だったら最悪だ。
そして私も今まさに、この状態だった・・・。
自分の先行きの見えなさに憂鬱になることが多くて、だからこそいろんな本を読んでみたり、宗教や哲学に興味を持つようになっているところがある。
そして日本人の精神を学びたいと思っているのも、拠り所を求めている自分がいるからかもしれない。
『多様性の科学』を読みながら、自分の今の状況にハッとした。
なにか、拠り所みたいなものを求め始めたら、思考停止状態になっているかもしれない、と自分に問いかけよう。
もう一つ驚いたのが、相手と自分の間に信頼関係がない場合は、どんなにエビデンスを示しても、自分の主張が正しいと相手に認めてもらうことは困難というところ。
なので、まずは信頼関係を作ることが大切。
(いや、それも難しいわ!っていうツッコミは入れないでおこう。)
この部分を読みながら、夫が私の話を基本的に疑ってかかるのは、私のことを信頼していないからなのかも知れない、と思った(汗)
本を読むとその話を誰かにしたくなるので、たいていの場合、夫に話をする。
私:「ねーねー、この本によると、こうなんだって!」と言うと、
夫:「そんなはずはない」
と一蹴されることが結構ある。
これって・・・。
私が信頼されていない、ということかもしれん。
もうちょっと夫に信頼されるように頑張ろうと思いました・・・。
この“信頼”っていうのも、やっかいな代物。
たとえば“医者”とか、“弁護士”とか、“科学者”とか、そういう権威のある肩書がついていると、無条件に信じてしまうことがある。
ある場合には効率が良いけど、ある場合には危険。
ヤブ医者かもしれないし、ヤブ弁護士かもしれない。
無条件に信じていいか、すこし立ち止まって考える習慣を身につけないとなーと思った。
一時期、メンタリストDaigoのyoutubeにハマっていて、それはDaigoの『めちゃくちゃ本読んでる』、『各国の論文をめちゃくちゃ読んでる』、『慶応卒』という権威に、無条件の信頼を寄せていたからかもしれない。
今、あらためて考えるとDaigoの演出は、かなりよく考えられていたような気がする。
人を信頼させるための演出が凝らされていたというか。
人気ユーチューバーの傾向なんかをデータ化したら、結構面白そう。
そういえば、『影響力の武器』というベストセラー本にも、権威というもののやっかいさが書かれていたなぁ。
『多様性の科学』
読み物としてめちゃくちゃ面白かった。
この本のように具体的なエピソードが載っていると、面白いなー。
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