環境対策でみる日本の危うさがわかる『グリーン・ジャイアントー脱炭素ビジネスが世界経済を動かす』(森川潤)
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最近、環境問題に興味がでてきて読んだ本。
脱炭素がいかに喫緊の問題なのかということを前提に、
脱炭素に向けた世界各国の取り組みと、日本の立ち位置をわかりやすく解説してくれている本でした。
環境対策関係のビジネスには大きなチャンスがあるかもしれないことや、むしろ環境対策を考えていない企業はリスクですらある、などいろいろ勉強になった。
一番印象に残ったのは、脱炭素という点でも日本は世界から大きく乗り遅れている、という点。
ここ数年、いかに日本がダメか、という記事を目にすることが多くなって、悲しさを通り越して諦めの境地になってきているところなんだけど、環境対策でも日本は遅れているようです、、。
最後のあとがきにあった、「2000年代に記者になった筆者は、基本的には日本の負け続ける姿しか書けていない」という言葉が、なんとも切なかったなぁ。
この言葉の裏側には、「勝つ日本を記事にしたい!」という気持ちがあると思うので。(私もなにか、日本の明るいニュースを読みたいです!)
欧米では化石燃料を使った発電を順次、再生エネルギーによる発電システムに切り替えようとしているなか、具体的なロードマップすら描けていないのが日本の現状。
また、再生エネルギーに関するスタートアップ企業が少なく、もはや脱炭素後進国といわれてもしょうがない状況にあるのが、我らが日本らしい、、、。
この本を読みながら、そもそも環境問題について真剣に考えている日本人が少ないのかもしれないなと思いました。
(いや、わたしもなんですがね、、、汗)
日本ではあまり想像できないけど、アメリカでは、特に若者たちが環境対策に熱心らしい。
たとえば、環境負荷の高い牛肉ではなく、負荷の低い植物肉を食べるようにしたり、環境政策を掲げている政治家に投票したり。
バイデン大統領の当選にも、若者たちの影響力が少なからずあったのは事実らしいんです。若者たちの本命はバイデンではなく、バイデンと同じ民主党のサンダース上院議員だったんだけど、サンダースに投票すると票が割れて、トランプが再選してしまうかもしれない。ならばひとまずバイデンに投票して、民主党を勝たせるという戦略にでた、というのが先の選挙戦の実態だったらしい。(全然知らなかった。)
では、なぜサンダースが若者に支持されているのか、というと、その一つが気候政策を掲げているから。
もはやアメリカでは、気候政策が国民支持を集める重要なポイントになっている。
日本はというと、そんなに重要視されている感じがしない、、ような?
気のせい?
SDGsって騒ぎ始めたのもここ最近の話だし、私が知らなさすぎるからなのかなぁ。
興味深かったのは、哲学者の斎藤幸平の言葉の引用で、
「経済成長と二酸化炭素の排出量の削減は両立しません。つまり本気で“地球を守ろう”、“公正な社会を作ろう”という目的を達成するためには、利潤を際限なく追求する資本主義というシステムそのものに問題があることに気づかなくてはなりません。その資本主義から抜け出す方法を探ることが求められているのです」
という言葉。(P212より)
資本主義の聖地・アメリカの若者たちが、資本主義に限界を感じているとも書いてあって、なんだか色々と考えてしまった。
アップルやアマゾンを代表するアメリカの企業って、個人的には本当にすごいな〜と思うばかりだったんだけど、その一方で、アップルのサプライチェーンに乗るためには熾烈な競争を勝ち取らないといけない、という現実もある。
その熾烈な競争のなかには、当然価格競争もあって、より安く作るために、どこかで誰かが(何かが)犠牲になっているかもしれない。
普通に生活していると、商品のルーツを知ることがないので、どうやって作られて、今ここにあるのか、ということを考えもしない。だから製造過程で誰かが(何かが)犠牲になっていても、気づかない。
私の何気ない普段の買い物や行動が、気候変動の一翼を担ってしまっている、、かもしれない。
そう考えると恐ろしいのだけど、そういう現状を変えるために、私ができることってなんだろう??
選挙のとき、気候変動対策を掲げている候補者に投票する、お買い物するときに、ちょっとだけでもこの製品は環境に良いものか、どういうルーツのものなのか、考えるようにしてみる、とか、だろうか。
と、それらしいことを言ってみても、
お買い物のときには、安いものに目がいきがちな私なんである。
家計の問題もあるし、どうしたものかなぁ。。。