セックスと資本主義に関係があるとは知らなんだ。:あなたのセックスが楽しくないのは資本主義のせいかもしれない(著者:クリステン・R・ゴドシー)
タイトルのインパクトがすごすぎる。
しかし、ポップなタイトルと表紙とは裏腹に真面目な内容だった。
私の中では『社会主義は失敗だった』というイメージがこびりついていたので、社会主義にも良い点はあったのだ、という主張をしている本書の内容はかなり衝撃だった。
社会主義国だった東ヨーロッパには、1924年にはもう産休を取り入れている国があったり、産休の間、全額給料保証があったり、保育制度が充実していたり、シングルマザーでも貧困層になることはない制度がととのっていたり・・・
現代日本からしたら、いま躍起になってどうにかしようとしていることが、はるか昔の社会主義国家では達成されていた事実があるらしい。
すくなくとも、女性という視点からみたら、社会主義国家というのは完全な悪・失敗した体制とは言えないのでは???と、疑問を呈しているのが本書の内容。
資本主義社会では、あらゆるものが商品化されてしまって、それはセックスにおいてもそういえる。パパ活だって、ある意味では性の商品化だ。
セックスがお金になるのであれば、女性はできる限り自分の性を高く売りたいと思う。
つまりはセックスを安売りできなくなる。そして安売りしている女性に対して、はしたない、という認識になってくる。
確かに、私もセックスを楽しんでいる女性を好意的に見ることは、できないかも・・・。
でも、なんでセックスを楽しんじゃいけないんだ???
女の人だって、セックスを楽しんだっていいんじゃないか?
前に『イッツ・オンリー・トーク』という小説を読んだときにも、ちょっと感じたことだ。
一部の社会主義国家においては、女性の収入や生活が保証されていたので、女性も男性と同じようにセックスを楽しむ、ということができたらしい。
セックスが商品化できないのであれば、それは単純に子どもをつくるため、又は楽しむための行為ということになる。
決して売るために我慢してするものではなくなる。
結果的に、社会主義国の女性はセックスの満足度が高くなる。(実際にそういう統計データがあるらしい)。
マジか!!
こう書くと、社会主義いいじゃん!ってなるけど、皆知っている通りいいことばかりではないのも確か。
著者自身、何度も何度も強調しているように、国家社会主義や、全体主義に賛同しているわけではない。
著者が言いたいのは、社会主義にもいいところはあって、現代に生きるわれわれはそれをもう少し学んで、取り入れてもいいのでは?ということ。
資本主義が限界なのは、私も薄々感じている。
いろんなジャンルの本を読んでるのに、どの本からもこのままでいいのか?はて?と思うことが多くて、最近はエッセイを読んでも、資本主義の闇を感じてしまったりしている。
統一教会の問題も、資本主義と関係があるのではないか?
資本主義社会においては、お金持ちの権力がどうしたって強くなる。
本来はここで政治が資本主義の暴走を止めるべきなんだけど、どうにもそうなっていないのではないか?
『あなたのセックスが楽しくないのは資本主義のせいかもしれない』を読んで、怖いなと思ったのは、政治と経済(経営者)などが癒着して、歯止めがかからなくなったら、人工中絶を禁止するとか、そういうことをいいだしかねないな、というところ。
経済成長的には人口が増えたほうがいいのは間違いないのでね。
流石に、こんなことを言い始めたら、国民が大反対をして、改正法案がポシャると思いたいのだけど、本当にそうなるかな?と不安がよぎる。
まぁ、これは極論だけど。
この本の著者は、資本主義の暴走はかなり危ういところに来ていますよ、と危機感をもって警鐘を鳴らしていた。
本来的なSDGsが達成されて、日本が暮らしやすい国になるといいのだけど、このままでは風前の灯かもしれない。
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