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日本の芸術はどのように作られたか。「アートがわかると世の中が見えてくる」著者:前崎信也

 

タイトルに惹かれて読んでみました。

 

日本の歴史の中で、日本の芸術がどのように定義され、利用されてきたのか、というのを解説している本だった。

そして、文化大国ニッポンという肩書きは本当に正しいかな?? 今後もそう言ってられるかな??と警鐘を鳴らしている本でもありました。

初めて読んだタイプの内容だったので、新鮮で面白かったな。

 

そもそも日本の芸術ってなんだ??

という問題について、著者は明治期に定義されたのではないか、と仮説を立てていた。

 

明治になって日本が開国したあと、世界にデビューするにあたって、日本とはこういう国ですよ、といえるものを探さないといけなかった。

そこで、日本がどうしたのかというと、中国とは違うもの、もしくは中国から輸入したあとに独自に発展したものなどを探して、これが日本の芸術・文化ですよ、定義づけることにした。

 

なるほど、と。

この本を読んで、びっくりしたのが、江戸時代から明治初期くらいまでは、日本は中国が大好きだったんだということ。

そういわれたらそうだったね!

なんていったって、遣隋使やら遣唐使やらせっせと遣わして中国の文化を取り入れようと頑張っていたし、そもそも日本語というもの自体、中国語の影響をもろに受けている。

建築や、宗教もそうだ。

今となってはお互いにマイナス感情を持っているのが悲しいくらいに関係が悪くなってしまっているけど、少なくとも日本人は中国が好きだったはずなのだ。

 

この本を読んで、自分が今までそうだと思っていることや、学校で習ったことには、日本政府の意向が多分に含まれているということを自覚しないといけないんだと思った。

 

このまえ読んだ中国語は不思議―「近くて遠い言語」の謎を解く―(新潮選書)にも書いてあったけど、教科書の内容を疑ってみることから学問は始まるということにも、通じる気がしますね。

 

茶道の話も興味深かった。

なぜ昔は武士(男)が嗜んでいたものなのに、現代では女性ばかりがやっているのか、など。

文化・芸術も歴史とは切っても切り離せないので、歴史の中でどう扱われてきたのかというのを知ると、見方が変わりますね。