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芸術を日常生活に取りいれることの意味

ついこの前、現代アートがわからないから入門書を読みました、という記事をアップしました。

 

aaaooooo.hatenablog.com

 

上記の記事では現代アートに特化した本ばかりだったので、現代アート以外の本を、と思って、今回はこちらの本を読みました。

 

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『イギリスはおいしい』という本で初めて知った林望先生。

このエッセイがすごく面白くて、他の本も読みたいな〜と思っていたところにアート関係の本があったので、飛びついた。

 

アーティストではない我々一般人にとって、アート・芸術って生活にあったら嬉しいけど、絶対に必要なものではない、っていう感覚だった。

アートは好きだけど、生活に必要か?っていうと、うーん、そうでもないかも、、というか。

 

そんな考えのもと、この本を読み始めたのだけど、のっけから林先生は

 

「芸術ってのは豊かな人生を送るためになくてはならないものだ」

 

とおっしゃる。

 

仕事は生きていくのに最低限必要なことだけど、これだけじゃ生き甲斐がない。

だから芸術という遊びが必要なんだ、と。

 

な、なるほど、、、、!

職場と家の往復作業だけしていると、本当に嫌気がさしてきて、なんのために生きてるんだろう、、、ってなる。(見に覚えがありすぎる)

 

遊びのすべてが芸術とは思わないけど、芸術を遊びにして、クリエイティブなことに没頭できたら、それは結構楽しい気がする。

 

もともと何かを作るのは好きだった気がする。

就職してから、とんとやらなくなってしまっただけで、、、、。

 

先に読んだ『〈問い〉から始めるアート思考』にも書いてあったけど、アートってのは有史以来ずーっと存在しているものなんであって、人間が存在し続ける限り、なくなったりはしないんじゃないかという説。

どんなに貧しい国であっても、どんなに貧しい時代であっても、芸術は途絶えることがなかった。

これは、アートを含め芸術というものが、人間の本源的な欲求だからなのでは?と林先生はおっしゃっていた。

洋服一つ選ぶときにだって、より好みのもの、自分に似合うものを探そうとする。

これは自分の体を素材にして、絵を描いているようなものだ、と。

 

そういう芸術というものを、どこか高尚なものとして祭り上げたりしないで、もっと日常生活に取り込んでいきましょうよ〜というのが林先生の主張。

これは私も大いに賛成だなぁと思ったんでした。

社会のため、アーティストのため、とかそういう大袈裟なことではなくて、自分のために。

芸術っていうと、大袈裟な感じがするけど、自分が作ったもので誰かが喜んでくれたらそれは単純に嬉しい。

そういう単純な喜びが、今の私の生活から失われてしまっているのが、毎日の生活を楽しめない原因なのかもしれないと思った。

 

つい先日、鬱々とした記事をアップしたばかりですけど、仕事でそういう単純な喜びが得られない以上、仕事外で見つけるしかないんだろうな、と。

 

かといって、芸術ってどうやって日常に取り入れたらいいの?って話でして、そこらへんの踏み出し方を丁寧に説明してくれていて(しかも励ましてもくれているんだ、これが)すごく勇気づけられた。

 

林先生は声楽がメインのようだったけど、音痴の私にはハードルが高い。

なんで、私は絵や文章の世界から入ってみたいなって思った。

 

もう一つ、印象に残ったこと。

この本の中で、イギリスと日本の違いがあれこれ書かれていて、興味深かった。

どっちがいいとは単純に言えないと思うけど、日本はもう少し芸術に触れる機会があってもいいのかもしれない。

お隣の韓国と比べてみても、芸術関係の市場規模が桁が違うくらいに日本は小さいらしい。

韓国映画のクオリティや国際的な評価からしても、これはなんとなく予想はできる。

お金がないと高いクオリティの映画が作れない、とは言えないけど、無いよりはあったほうがいいのは確実。

映画に詳しい友達も、今韓国の映画がすごいって、言ってたしなぁ。

 

まあ、イギリスや韓国みたいになろうっていっても、一日やそこらでは無理な話で、じゃぁどうするのかって言ったら、まずは我々日本人が日本の文化を再評価するところからスタートしてもいいかもしれない。

日本にもいろんな芸術文化はあるはずなんだ。

ぱっと思いつくだけでも、

浮世絵、日本画雅楽、茶道、華道、歌舞伎、能などなど。

こういうのをもっと日常生活に取り入れてもいいのかもしれない。

 

今までアフタヌーンティーならテンションがあがるけど、茶道っていうと、「うーん、、敷居が高そう、、(ついでにお値段も高そう)」ってな感じだった。

絵にしたって、日本画よりも西洋画のほうが華があって好きだなぁ、と。

和菓子よりも、洋菓子のほうが好きだし、、、あわわ、、、。

雅楽、華道、歌舞伎、能にいたっては、どこかのご令嬢・ご令息が嗜むもの、みたいな印象しかない。

これが林先生がいうところの芸術を祭り上げてしまっている、ということなんだろうなぁ。

 

そもそも自国の文化を捨て置いて、欧米の文化に惹かれてしまうのは、なんでだろう?

やっぱり欧米にコンプレックスがあるからなんだろうか?

第二次世界大戦で敗けたことが、未だに尾を引きずっている???

自分の家の食卓をみても、和食、中華、フレンチ、イタリアンってな具合にあっちこっちの料理を食べているけど、こんなのは日本くらいなもので、他の国は自国の郷土料理を食べることのほうが多いらしい。

(いろんな国の料理を家庭で食べるから、日本家庭の台所は物が多いという説もあるくらい)

 

こう書くと日本大好き人間みたいだけど、そうではなくて、住んでいるところの文化を堪能するのが、一番メリットが大きいってことに気づいたんでした。

絵画はともかく、歌舞伎や能なんかは日本に来ないと観られないんじゃないかなぁと思うんですよね。

映像ならどこでもみれるかもしれないけど、実際に生で観られるのって、たぶん日本だけだ。

コスパの良いものが好きな人間としては、これを堪能しない手はないのであって、興味の持てそうな日本発祥の芸術を探してみようと思った次第。